「原田くん、今度DMハガキつくるからよろしく」
そんなオーダーをいただいたのは、
納品予定の半年以上も前のことだった。
■種類/DMハガキ
■内容/改装に伴う休業案内
■ターゲット/既存顧客
■デザイン/完全おまかせ
■予算/なし
■その他/顧客の想像を超えてほしい
良い意味でも、悪い意味でも、
こんなに震えるオーダーはない。
「好きなようにやっていいから結果だけ出して」
ただ、それだけだ。
コストをかければいいというわけではない。
デザインに尖りを出せば良いというものでもない。
あくまで、そのお店らしさを失わないこと。
そして、そのDMを受け取った人が、
やっぱりこの店に通っててよかったと思ってもらえること。
わかる人には、わかる。
そんなこだわりを詰め込むことにした。
“現状維持は退化”
松下幸之助やウォルト・ディズニーが口にした言葉が、
まさに今回のリニューアルにも重なる。
日頃から、プロとしての矜持と向上心を持ち、
常に上を目指すオーナーの姿勢をコピーにさせていただいた。
表面は、コピーや改装後のヒントでもある
実際の図面を際立たせるための黒。
そして、裏面はコンクリート打ちっぱなしの
店舗をイメージさせるグレー。
印刷でも、合紙でもなく、
リバーシブル(ツートン)の厚紙を使用した。
大きさは、
DM=ハガキサイズ(100mm×148mm)という固定概念は捨て、
郵送可能でDMとしては馴染みの薄い
スクエアサイズ(150mm×150mm)に。
そして、両面に箔押し加工を施した。
表面は艶消しの銀箔、
裏面は艶有りの黒。
マットな用紙への箔押しは、
格段に雰囲気が良くなる。
予算の制限はなしとは言え、
好き放題やって馬鹿みたいな金額を請求するのはプロではない。
現実的なコストで前述のデザインと加工を行うため、
福井県の業者様に頼むことにした。
DM一枚の単価として見れば、高かったかもしれない。
ただ、今回の内容は、
季節ごとに出すキャンペーン告知や割引クーポンではない。
今後、お店が進む未来を示す道標だ。
昨日、オーナー様より
お客様からの評判がとにかく良いとのご連絡をいただいた。
これだから、この仕事はやめられない^^